玉本 奈々
玉本奈々は1976年、日本の富山県生まれ、現在大阪在住。現代の新鋭芸術家。
彼女の言語の多くは、彼女自身が抱く夢や幻覚に根付いており、繊維生地などの総合材料を使用しつつ、反立体造形や質感を作ることを得意としている。また絵の中に表出する凹凸のテクスチャに、効果的な彩やレンダリングを施し、自然の流れに合わせ色を千変万化させた絵画や立体、インスタレーションなどの作品を創作している。
近年、彼女の作品、特に色彩表現は業界で高く評価されている。日本、アメリカ、イギリス、フランスなどで頻繁に個展が開催されており、1998年から現在に至るまで、多くの対象を受賞し、多くの機関に収蔵されている。また、余暇の執筆やモデルなど、多岐にわたる仕事も注目を集めている。株式会社麗の會、オープニング作家の個展です。

玉本奈々 TAMAMOTO Nana 略歴
1998年 | 成安造形大学卒業 |
1998~2000年 | テキスタイルデザイナーとして就業 (大阪) |
2006年 | 大阪にアトリエを構える(大阪) |
2010年 | 京都芸術大学大学院芸術研究科修了 |
賞歴
2000年 | 現代美術PARIS展 奨励賞(Paris, France) 日仏現代美術大賞展 優秀賞(東京) 日本の心と現代アート選抜作家展 奨励賞(Paris, France) |
2003~2006年 | Grand Concours International, Espace Paul Cézanne(France) フランス共和国名誉賞2003/新人賞2004/栄誉賞2005・2006 |
2003/2005/2008年 | 2002~2003年・2005年・2007~2008年功績 La Toile d’Or賞 Fédération Nationale de la Culture Française(France) |
2019年 | 国際芸術コンペティション「アートオリンピア」準佳作(東京) 東久邇宮記念賞 東久邇宮文化褒賞 |
2021年 | 東久邇宮平和賞受賞 |
主な個展
2002年 | 富山県民会館美術館(富山) O美術館(東京) |
2003~2004年 | Galerie GAM’ART(Fréjus, France) |
2003年 | 茨城県つくば美術館(茨城) 滋賀県立近代美術館Gallery(滋賀) |
2004年 | 「玉本奈々の世界」福井市美術館(福井) 「文化の息づきと共に」 国登録有形文化財 豪農の館・内山邸/薬種商の館・金岡邸(富山) |
2006年 | 刈谷市美術館(愛知) 名古屋市民ギャラリー矢田(愛知) |
2007年 | 世界遺産 五箇山、相倉合掌造り集落 高桑家/山崎家(富山) 高岡市美術館Gallery(富山) 坂のまち美術館(富山) |
2008年 | ギャルリVEGA 財団法人いけだ市民文化振興財団(大阪) |
2009年 | Gallery NOW(富山) |
2011年 | ギャラリー島田(兵庫) 「生への思念」 ギャルリ-宮脇(京都) |
2012年 | 「真相-深層」 尼信博物館 (兵庫) |
2014年 | 平成25年度枚方市平和の日記念事業「向き合う時間」 サンプラザ枚方市立生涯学習センター市民ギャラリー(大阪) 「向き合う時間」 ギャルリ―宮脇(京都) |
2015年 | 「隣人」Note Gallery(大阪) 白川郷・五箇山合掌造り集落世界文化遺産登録20周年記念事業「共鳴り」 世界遺産 五箇山 菅沼合掌造り集落 羽馬家 関連イベント/ベルギー王立美術館公認解説者・森 耕治講演 「マティス、豪奢、静けさ、快楽」玉本奈々さんへのオマージュ(富山) |
2016年 | 「原動-いのちの始原」 ギャルリ―宮脇(京都) |
2017年 | 「脈」 Note Gallery(大阪) 「夜・鳥」 ギャラリー白川(京都) 枚方市 市制施行70周年記念事業ひらかたまちかど空間アートフェスティバル 「仕合せ」浄行寺(旧京街道枚方宿「東見附」~「西見附」)(大阪) |
2018年 | 「触角」 アートデアート・ビュ―(大阪) |
2019年 | 「集積-あるふぁべっとのかたちたち」書籍刊行記念イベント個展・講演・サイン会 枚方T-SITE / TSUTAYA本店(大阪) 「集積-あるふぁべっとのかたちたち出版、新シリーズへの展開 Note Gallery(大阪) |
2020年 | 「人跡 シリーズ・アルファベットのアト」ギャラリー白Kuro(大阪) 「Portrait」ギャラリー耀(富山) |
2021年 | 「生息」アートデアート・ビュ―(大阪) |
2022年 | 「在る 数秘」 茨木市立川端康成文学館ギャラリー企画(大阪) 「映・移」京阪百貨店(大阪)予定 |
主なグループ展
2002年 | Foire d’Art Internationale, Salle Principale de l’Exposition Flandre(Flanders, Belgium) |
2002~2003年 | Salon d’Automne(Paris, France) |
2004年 | 現代美術の展望VOCA展~新しい平面の作家たち~ 上野の森美術館(東京) 「知と情」比良美術館(滋賀) |
2000~2005年 | Salon des Indépendants(Paris, France) |
2005年 | 常設展 La Galerie Thuillier(Paris, France) |
2007年 | とやま現代作家シリーズ「時の中で-」富山県立近代美術館(富山) |
2008年 | 「アートは自在に語る」比良美術館(滋賀) |
2009年 | 「変容×芸術」比良美術館(滋賀) |
2010年 | 「Phantasmagoria」ギャルリ―宮脇(京都) |
2009~2012年 | 常設展 KEIKO Gallery(Boston, USA) |
2012年 | Kyoto Art Fair 国立京都国際会館/国際会議場(京都) |
2014~2015年 | 企画展示としての「ギャルリー宮脇の常設展」ギャルリ―宮脇(京都) |
2015年 | ART OSAKA Hotel Granvia Osaka(大阪) |
2016年 | 「Regards croisés」 La Galerie Akié ARICHI(Paris, France) |
2016年 | 「2016 この一点」 ギャラリー白川(京都) |
2017年 | AiPHT (ART in PARK HOTEL TOKYO 2017)(東京) Daegu Art Fair(Daegu, Korea) |
2018年 | 「35年目の展覧会」 ギャラリー白川(京都) Art Expo Las Vegas(Las Vegas, USA) ART FAIR ASIA FUKUOKA(福岡) 高槻アート博覧会 松坂屋ショウウインドウ(大阪) |
2004/2005/2018年 | International Artexpo New York(New York, USA) |
2015~2019年 | 枚方市企画事業 枚方の美術家ミニアチュール展 サンプラザ枚方市立生涯学習センター市民ギャラリー(大阪) |
2019年 | Cebu Art Fair(Cebu, Philippines) Infinity Japan Contemporary Art Show(Taipei, Taiwan) 「シリーズの展開」東久邇宮記念賞 祝賀の儀(大阪) |
2021年 | 「パスカルの蝶たち」オルタナティブスペースKの家(長野) 美術ギャラリー開館記念 枚方市企画事業 枚方の美術家展 枚方市総合文化芸術センター ひらしん美術ギャラリー(大阪) |
主なワークショップ
2011~2012年 | ジュニア☆アート☆ワールド 「天までのぼれ!ねがいの龍」高岡市美術館 (富山) |
2014年 | 「増殖×集積」玉本作品「捻転」とのCollaboration サンプラザ枚方市立生涯学習センター市民ギャラリー(大阪) |
2017年 | 「編むコム」紙で紙を編む。「編むコム」から何が見える? 枚方市市制施行70周年記念事業ひらかたまちかど空間アートフェスティバル 「仕合せ」浄行寺(大阪) |
著書
2009年 | 「マスクの旅路」(絵本/文芸社) |
2012年 | 「シロアリの事典」表紙カバー起用(マスクの旅路表紙より)(海青社) |
2013~2014年 | 「ネイチャー・アンド・ソサエティ研究1~5巻 表紙カバー起用(ドローイング「ら」)(海青社) |
2019年 | 「クィア・サバイバー」(仮)表紙カバー起用(立体・捻転)(海外出版社) 「集積-あるふぁべっとのかたちたち」(海青社) |
コレクション
世界遺産 五箇山 菅沼合掌造り集落
高橋コレクション
楊コレクション
天の川保育園(大阪)
坂の下保育園(富山)
ママステーション枚方(大阪)
北部地区医師会病院(沖縄)
茨木市立川端康成文学館
評論・紹介
京都国立近代美術館長 柳原 正樹氏
画家にはそれぞれに視点というものがあり、事物をどのようにとらえ、いかに表現すべきかを試行錯誤する。さらに、何を描き、そこに何を託すかが重要なこととなる。
玉本奈々の場合、その視点は、目に見えるものに焦点を定めるのではなく、自身の心の奥底に潜む何ものかに向けられているように思えてならない。
だからであろうか、その画面からは、ただならぬ気配が伝わってくる。特にその色彩は嫌悪感さえ覚えるほどの力があり、見る者の網膜を刺激する。さらに画面に与えられた形態は、得体の知れない生物が蠢くがごとく不気味だ。醜さと情念が交錯する一種狂気にも似た世界が作品を支配しているのである。
それはまさに、この画家の内側の叫びでもあり、とめどなく湧き上がるエネルギーなのだ。そして画家とは不憫なもので、その感覚をキャンバスに定着しようとするのである。玉本にとって描くということは、生きるということに直結している。自身の身体と精神のバランスを保つために、描き続けなければならないのかもしれない。
さて、このたび玉本はアルファベットを題材とした作品に着手した。AからZまでの26文字をテーマに作品を描き上げたのである。その制作は、たぶん従来のものとはいささか異なるものであったろう。つまり、文字という定められた形態を基本に筆を進めるということは、ひとつの約束、束縛のもとで絵を描くということになる。この画家にとっては最も避けたい制作の手法であったろうが、あえてその世界に挑んだのである。
そして、その作品には新たなる世界が展開されたのであった。たとえば制御された感覚。色彩は穏やかになり、淡く爽やかな中間色が快い。さらに形態は理知的で構築的な様相を示すようになった。興味深い一例を挙げるならば、Dという文字には、「半月」。Oには「車輪」、Uには「磁石」という副題が与えられている。文字の型から連想した、この画家ならではのセンスであろう。
さらに作品には、詩が添えられているのである。文字からのイメージと、内面から表出した言葉が綴られているのだ。それは詩画集となり、玉本奈々の新たなる一歩を示すとともに、これまでの集大成とでも言うべき作品となった。多くの人々にこの作品集を手にして貰いたいと願っている。
玉本奈々の場合、その視点は、目に見えるものに焦点を定めるのではなく、自身の心の奥底に潜む何ものかに向けられているように思えてならない。
だからであろうか、その画面からは、ただならぬ気配が伝わってくる。特にその色彩は嫌悪感さえ覚えるほどの力があり、見る者の網膜を刺激する。さらに画面に与えられた形態は、得体の知れない生物が蠢くがごとく不気味だ。醜さと情念が交錯する一種狂気にも似た世界が作品を支配しているのである。
それはまさに、この画家の内側の叫びでもあり、とめどなく湧き上がるエネルギーなのだ。そして画家とは不憫なもので、その感覚をキャンバスに定着しようとするのである。玉本にとって描くということは、生きるということに直結している。自身の身体と精神のバランスを保つために、描き続けなければならないのかもしれない。
さて、このたび玉本はアルファベットを題材とした作品に着手した。AからZまでの26文字をテーマに作品を描き上げたのである。その制作は、たぶん従来のものとはいささか異なるものであったろう。つまり、文字という定められた形態を基本に筆を進めるということは、ひとつの約束、束縛のもとで絵を描くということになる。この画家にとっては最も避けたい制作の手法であったろうが、あえてその世界に挑んだのである。
そして、その作品には新たなる世界が展開されたのであった。たとえば制御された感覚。色彩は穏やかになり、淡く爽やかな中間色が快い。さらに形態は理知的で構築的な様相を示すようになった。興味深い一例を挙げるならば、Dという文字には、「半月」。Oには「車輪」、Uには「磁石」という副題が与えられている。文字の型から連想した、この画家ならではのセンスであろう。
さらに作品には、詩が添えられているのである。文字からのイメージと、内面から表出した言葉が綴られているのだ。それは詩画集となり、玉本奈々の新たなる一歩を示すとともに、これまでの集大成とでも言うべき作品となった。多くの人々にこの作品集を手にして貰いたいと願っている。